曽根健孝大使の2026年新年の御挨拶
新年明けましておめでとうございます。
昨年10月17日に当地に着任して以降、チリ政府、議会、地方自治体、進出日本企業及び日系社会等の皆さまに直接ご挨拶させていただき、日本とチリの関係強化に向けたこれまでの取組と今後の展望等について、じっくりとお話をお伺いする貴重な機会を賜りました。また、12月30日には信任状奉呈式も行われ、正式に特命全権大使としての活動が始まりました。チリについて勉強途中ではありますが、本年も皆さまとのご縁を大切にしながら、共に歩んでまいりたいと存じます。
2025年を振り返りますと、二国間関係のハイライトは、やはり4月から10月まで開催された大阪・関西万博であったと思います。3月にモネダ宮殿文化センターで実施したチリ外務省貿易振興局(ProChile)と当館の共催によるキックオフ・イベントを皮切りに、5月にはボリッチ大統領が初訪日され、東京での日チリ首脳会談に続き、大阪では同万博チリ・ナショナルデー(5月12日)を大いに盛り上げていただきました。両国の万博を通じた交流は大変充実したものとなり、ボリッチ大統領(5月)、バン・クラベレン外務大臣(5月)、バレンスエラ農業大臣(5月)、アレドンド文化芸術遺産大臣(5月)、ムニョス運輸通信大臣(5月)、フレイ元大統領(6月)、ウィリアムス鉱業大臣(6月)、ピサロ・スポーツ大臣(7月)、パルドウ・エネルギー大臣(8月)が順次訪日され、毎週様々なテーマでチリの魅力の発信が行われた他、チリ政府要人には、我が国との良好な関係を一層強化していくことの重要性を改めて認識いただく貴重な機会となりました。
万博の締めくくりとして、先住民女性200人以上が共同で織った「マクン」というマントに覆われたチリのパビリオンが、国際博覧会事務局から「モジュラー・パビリオン部門」の「テーマ開発」カテゴリーで見事「銅賞」を授与されるという嬉しいニュースもありました。今次万博を通じて強化された両国の協力関係をレガシーとして、引き続き、様々な分野でより具体的な成果に結びつけていきたいと考えています。
さて、昨年5月に実現した日チリ首脳会談及び外相会談では、鉱業分野、防災分野、宇宙・天文学、科学技術分野といった幅広いテーマで会談が行われ、二国間関係の着実な進展が確認されました。特に、チリ側からは、チリを拠点とした中南米における日本の防災分野の人材育成の取組(KIZUNA プロジェクト)への高い評価が示されました。両国首脳及び外相は、安全保障分野での緊密な連携を確認するとともに、CPTPP等の自由貿易の枠組でも連携していくことで一致しました。来年には外交関係樹立130周年を迎える戦略的パートナーであるチリとの関係を一層強化していくべく、本年も当館は全力で取り組んで参ります。
また、昨年は日本から生稲外務大臣政務官(1月)及び小林防衛大臣政務官(8月)のチリ訪問が実現しました。生稲外務大臣政務官は、二国間の協力関係の深化のため、グロリア・デ・ラ・フエンテ外務大臣代行及びアレドンド文化芸術遺産大臣とそれぞれ会談し、またチリ側友好議連関係者、当地日系社会、日本語教育関係者及び元国費留学生等と意見交換を実施しました。同政務官がビニャ・デル・マル国立植物園に植樹したサクラの木は、昨年9月の春の訪れとともに見事に花を咲かせ、また新たな両国友好のシンボルが誕生しました。
小林防衛大臣政務官は両国の防衛協力の進展に向けた緊密な連携を再確認するため、デルピアノ国防大臣と会談を行い、「日チリ防衛協力・交流に関する覚書」の署名式に出席しました。同覚書に基づき、また、本年から在京チリ大使館に武官が配置されることを踏まえ、今後も、防衛当局間の緊密なコミュニケーションを継続するとともに、様々な分野での防衛協力・交流の一層の発展が期待されています。また、小林防衛大臣政務官とサモラノ海軍参謀長との意見交換では、両国の地理的な制約はあるものの、海軍種間を中心とした防衛協力・交流が進展しており、特に、6月には大阪・関西万博を記念したチリ海軍練習艦「エスメラルダ号」の大阪寄港の実現、8月には海上自衛隊練習艦隊「かしま」、「しまかぜ」のバルパライソ寄港(2年ぶり10回目)の実現という相互往来の年となったことを歓迎しました。大阪港での艦上レセプションには高円宮妃殿下が御臨席され、フレイ元大統領との御再会と御懇談が実現したことも大変重要でした。
また、12月には、日チリ科学技術協力合同委員会の第1回オンライン合同会合を実施しました。これは、2023年に締結された日チリ科学技術協力協定に基づき、科学技術・イノベーション分野での連携を強化するために開催されたものです。両国から複数の省庁・機関が出席し、既に協力が進んでいる天文学や通信、学術交流に加え、AIやGXなど新たな分野での協力・連携の可能性について期待が持たれます。
スポーツ分野でも昨年は両国間の活発な交流が続きました。2月にはホッケーのネーションズ杯がサンティアゴで開催され、日本女子代表「さくら JAPAN」がチリと対戦しました(引き分け)。9~10月にはFIFA U20 W杯がチリで初開催され、日本・チリがグループリーグで対戦し、日本が2-1で勝利しました。日本代表は16強まで進出し、大いに健闘しました。また12月には女子ホッケー・ジュニアW杯が当地で開催され、U21「さくら JAPAN」がサンティアゴのスタジアムで躍動しました。
本年3月にはチリで新しい政権が発足します。伝統的に良好な二国間関係を一層深化させるべく、基本的価値を共有する戦略的パートナーとして、二国間の文脈のみならず、国際社会の諸課題に対処するためのパートナーとして、両国のハイレベル対話を継続し、2027年の日チリ外交関係樹立130周年を視野に一層緊密な協力関係を実現していきたいと考えています。その一環として、草の根・人間の安全保障無償資金協力を通じて、チリの地域社会に根ざした支援等を推進し、国際協力の具体化にも貢献してまいります。
新政権発足以降も引き続き、チリで活動する日系企業の事業環境改善に向けた支援を強化し、とりわけ治安及び査証に関連する課題に対しては、チリ政府要人への働きかけや事務レベルでの申入れなどを継続的に実施して参ります。また、全館体制で在留邦人及び邦人渡航者の皆様の安全を確保すべく、当館として最善を尽くして参る所存です。
本年がみなさまにとって充実した1年となりますことを心より祈念申し上げます。
チリ駐箚日本国特命全権大使 曽根 健孝
