館長挨拶

令和5年12月22日
伊藤大使

駐チリ日本国大使

伊藤 恭子(いとう たかこ)
 

11月29日、夏の陽気が感じられる爽やかな気候のサンティアゴに新しい駐チリ日本国大使として着任いたしました。これまではアジア、北米、また、マルチ外交分野で勤務を重ね、アフリカで駐エチオピア大使を経て、新たに南米のチリに参りました。どうぞよろしくお願いいたします。

日本とチリは、太平洋を挟んだ隣国として、また、民主主義や人権、法の支配といった価値や原則を共有する重要な戦略的パートナーとして、物理的な距離はありながらも様々な分野において関係が緊密な友好国です。日本とチリの関係は古く、1897年に修好通商条約を署名し、以来125年以上にわたり友好関係を深化してきました。2018年には戦略的パートナーとして両国の関係を発展させることに合意し、要人の往来等の人の交流も盛んに行われています。このような良好な関係を築いているチリにおいて、大使としてより一層、連携を深めていく機会を得られたことを大変嬉しく思います。

これまでの私のチリとの関係を申し上げると、日チリ経済連携協定の交渉官の一人として、投資及び政府調達分野を担当し、チリ政府との交渉のためにサンティアゴを2回訪問したことがあります。今では日本とチリは日・チリEPAだけでなく、CPTPPの加盟国として経済関係が益々拡大しており、日本企業も数多く活躍しています。これからも、チリの銅をはじめとする重要鉱物資源やグリーンエネルギー分野、サーモンやワインを含む農林水産分野での関係強化が期待されるところ、大使として更なる関係の発展に努めたいと思います。

また、両国の関係は、政治・経済分野にとどまらず、防災分野等の両国共通の課題における技術協力、医療・通信・宇宙工学や天文学といった科学技術及び学術交流、スポーツ・文化交流等多岐にわたります。気候変動やブルー・エコノミー等の地球規模の共通の課題への対応を含め、引き続き、これら多様な領域における二国間の繋がりが強まるよう尽力して参ります。

私は、日本の駐チリ大使としては初めての女性大使となりますが、国連人権高等弁務官としても活躍されたバチェレ元大統領をはじめ、女性が活躍するこの国において、日本も女性のエンパワメントに取り組んで来ていることを示すとともに、日チリ間の女性ネットワークの構築やチリでのジェンダー問題での協力、そして世界における女性と平和の問題について協力して取り組んでいきたいと思います。

2024年は、サン・ペドロ・デ・アタカマ市の高地における東京大学のアタカマ展望台プロジェクトの完成式が予定されています。また、近隣国のブラジルにおけるG20会合やペルーにおけるAPEC会合も予定されており、日本において、チリや中南米に対する関心が非常に高まると見られるところ、この好機を活かし、チリとの二国間及び地域間の関係強化に繋げていきたいと思います。

新型コロナも終息し、人々の往来が自由に行えるようになり、様々な行事が実施できるようになった現在、日本文化の魅力をチリの皆様に知ってもらえる活動にも積極的に取り組み、日本のファンを一層増やして行きたいと考えています。

チリは世界一南北に長い国で、北には砂漠、南には氷河があり、また南太平洋のイースター島など、特徴豊かな国と聞いております。任期中にできるだけ多くの地を訪問し、多様性に富んだチリを身をもって感じ、多くの方々との意見交換を通じて日チリ関係の連携・発展に尽くしたいと思いますので、皆様方からの御支援・御鞭撻をどうぞよろしくお願い申し上げます。